なぜ海外のリーダーはインプロを学ぶのか?

MBAプログラムや、Google、PepsiCo、McKinseyなどでは、インプロによるリーダーシップの向上が注目されています。では、なぜインプロをリーダーシップ教育に取り入れているのでしょうか?

リーダーがインプロを学ぶ理由は様々ありますが、今回は下記の3つをご紹介します。

  1. 自分の直観力を引き出し、不確実性に強くなる
  2. 部下の意見を聞き入れ、チームの可能性を広げる
  3. 自分の間違いを認め、心理的安全性を高める

1. 自分の直観力を引き出し、不確実性に強くなる

リーダーシップはサイエンスであると同時に、アートでもあります。数字に基づいて、論理的な判断を下すことも重要です。一方で、未知のものに挑戦するときには直観による判断も必要になります。

そしてインプロはこの直観を扱う点でリーダーシップのアートを育てるものです。

Improvisational Leadership: Learn To Think On Your Feetでは、Malcolm Gladwell氏の著作をもとに次のように述べています。

素晴らしい意思決定者は、大量のデータ処理や際限のない自己内省を行う必要はない――彼らは、難しい決断を瞬き一つの内に行うことができる。

Gladwell氏は、直観での即決は、往々にして、調査や計画よりも信頼できると主張している。

私たちは、熟考することでしか最良の解を導き出せないと考えてしまいがちです。しかしGladewell氏も述べているように、直観はより良い判断をするために必要な力です。

また、VUCA時代においては、先の見えない中で決断する必要性が増しています。例えば新型コロナウイルスへの対応はそのようなものでした。そしてこういった場面では、直観力がより重要になります。

インプロでは、人は本来この直観力を持っていると考えています。しかし、「どこかに正解がある」「間違えないようにしよう」という考え方が、その力を使うことをためらわせていると捉えています。そして結果として、「前例の無いことは決断できない」「本当は納得していない選択をしてしまう」という事態が生まれると考えています。

ワークショップでは、様々なワークを通して自分の直観力を再び引き出していきます。多くの人は自分の中に眠っていた直観力の大きさに驚くでしょう。そしてこのような体験を通して、不確実な中でも進んでいけるようになります。

2. 部下の意見を聞き入れ、チームの可能性を広げる

間違った答えはなく、まだ探究されていないアイディアがあるだけである。

Improving Leadership with Improv

VUCA時代におけるビジネスで必要なことは、一つの正解を導き出すことではなく、様々な可能性を探究することです。

インプロでは、自分が想像していなかったようなアイディアを相手が出すことがしばしばあります。その時に大切にしているのが、「イエス・アンド」の考え方です。

イエス・アンドとは相手のアイディアを受け止めて(Yes)、それに積み重ねていく(and)コミュニケーションの方法のことを指します。

Why Top Companies And MBA Programs Are Teaching Improvでは、この「イエス・アンド」に対して次のように書かれています。

最近のグローバルビジネスシーンにおいて特に役立つスキルである適応性(adaptability)を発揮させる。

イエス・アンドをするということは、思いがけない事実も受け入れ、それに対して変化していくことです。そのような体験が、リーダーの適応性(adaptability)を高めていきます。それは言い換えるならば「器を広げる」と言ってもいいでしょう。

また、Improving Leadership with Improvでは、次のように書かれています。

効果的に指揮を取るには、リーダーはよく聞き、新しいアイディアに寛容でなければならない。ここで、「イエス・アンド」の法則が役に立つ。創造性を妨げてしまう「できない」や「でも」などの否定的な言葉を使うのではなく、機会や可能性を見出すことを学び、社員たちが活躍できる環境を創り出すことができるのである。

「イエス・アンド」は、新たな可能性を生み出すためのコミュニケーションの方法です。経験のあるリーダーほど、自分の考えに固執してしまい、部下の提案を聞けなくなってしまいがちです。しかし、提案をよく聞き、「イエス・アンド」とさらに深堀ることで、アイディアはより厚みのあるものになり、可能性が広がるのです。

3. 自分の間違いを認め、心理的安全性を高める

あなたはキャリアにおいて中間管理職になり、様々なことを正しく行い、失敗からも学び、いくつかのことを分かってきたという考えに囚われてしまう段階に来ているかもしれない。

(しかし、)仲間に思いもよらない難しい質問をされた時、自分が何を知らないかを明らかにしてもらえたことに気づくだろう。

そしてこの経験は企業やビジネスに対するあなたの考えを大きく変える。

Why Top Companies And MBA Programs Are Teaching Improv

前項でも述べたように、人は経験を積めば積むほど「自分は何でも知っている」「自分の判断は正しい」と思ってしまいがちです。ましてやリーダーという立場になると、チームの模範となるような答えを出さなければと思ってしまうこともあるでしょう。

しかし、VUCA時代において正解は常に変化しています。刻一刻と変わる状況に対応するために重要なのは「自分が何を知り、何を知らないのか」を知ることなのです。

分からないことがあること、間違いを認めることは、決して悪いことではありません。むしろリーダーが弱みも見せることで、チームメンバーも間違いを恐れずにアイディアを出すことができるようになります。心理的安全性の分野においても、「リーダーが自分の間違いを認めること」は心理的安全性を高める行動とされています。

インプロは即興で行うため、「失敗すること」が織り込み済みのパフォーマンスです。したがって、「失敗しないこと」ではなく、「いかに安全に失敗するか」を大事にしています。そのために、自分の失敗を潔く認め、オープンにするためのワークが数多くあります。

このようなワークを通して、リーダーは失敗をオープンにすることでその場が安全になり、自分にとっても居心地のよい場所になることを体感していきます。

インプロをビジネスの現実として取り入れている上級管理者たちは、インプロにより予期せぬ事態を想定し、失敗から利益を得て、変化に対応できるようになると確信している。

Improvisational Leadership: Learn To Think On Your Feet

インプロでは様々なワークを通して、リーダーに必要なマインドを引き出し、ソフトスキル
を高めていきます。ご興味ある方はフィアレスまでお気軽にご相談ください。