実施報告|『異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』を読んだインプロバイザーとビジネスマンが対話してみた

こんにちは!COOの森です。
先日YouTubeLiveにて実施したインプロバイザーとビジネスマンとの対話イベントについてご報告です!

▼当日の映像はこちら

イベント概要
組織をより良くしたい人のためのインプロ体験ワークショップ vol.5 『言語を超えたチームビルディング』のコンテンツ開発にあたって参考にした本・『異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』

この本を読んだインプロバイザーとビジネスマンが、感想や実際に企業や人間関係の中で起こることなどについて対話を行いました。

メンバー紹介
忍翔(おしょう)
インプロバイザー
インプロバイザーの中でも、海外に学びに行ったり、オンライン化以降は海外の講師を積極的に日本に招いたりしている。オンラインになってより世界が広がっている。

三上 晃潤(三上さん)
株式会社ソフィア事業開発部
インターナルブランディング、インターナルコミュニケーションに焦点を当てて20年事業を行っている。事業開発部に所属し、営業やパートナー企業と新しいサービス作り、提供を行っている。

下村理愛(りな)
フィアレスCCO
三上さんをお誘いしてイベントをやったり、いろんな企業の方にインプロをやろうよと声をかけ、実施する人。

どうしてトークイベントを開催しようと思ったの?

コンテンツ開発の参考にするために異文化理解力を読んだのですが、開発の段階で忍翔とめちゃくちゃ語り合えたのです!もっと話したいねと思い、トークイベントを開催してみることにしました。

まずは異文化理解力の内容について、忍翔から説明

組織行動学の分野で教えているエリン・メイヤー。彼女がこの本の中で提唱している「カルチャーマップ」特にビジネスの分野において文化の違いが生まれやすい領域を分布している。

8つの領域ごとに2極化して、各国を分布させている。例えばコミュニケーションだと、ローコンテクストとハイコンテクストに2極化している。

細かく見ていくと、アジア系はハイコンテクストだということがわかるね。日本から見たら中国人は結構はっきり言うなと思ってるじゃないですか。でも、世界的にでみたらそうでもないらしいですね。

今回コミュニケーションの他に、評価にも注目しました。ここでいう評価はネガティブなものに対するフィードバックをどう行うかということです。

大体コミュニケーションと同じなんだけど、コミュニケーションでは左(ローコンテクスト)だったアメリカが真ん中に移動してるのが面白いんだよね。アメリカはシンプルなコミュニケーションをするんだけど、ネガティブなことをネガティブに言わないんですよ。

「I’m Fine」とかっていうよね。率直なコミュニケーションをポジティブに行おうとしてる!

日本は相変わらず右端にいますね。間接的な評価って具体的にはどんなことなんですか?

すごいまずいものに対して、黙ってたり新しい味ですよね、とかで対応する。会社とかでもありがとうと思ってないけど言って、裏で悪口とかね。

この状況をどうしろと言ってるんですか?

それぞれこうした方がいいというガイドはしているが、全体を通して、それぞれの文化を理解し合うことが大事。でも時間がかかることなので、ゆっくり構築していくことが大切だよと言ってますね。

その中でも具体的にこうした方がいいと言っている領域もあります。例えば、コミュニケーション。多文化コミュニケーションの中ではローコンテクストにした方がいいです。ハイコンテクスト(含みをもたせる)だと、同じ国だと文化が同じなので理解できるが、国が違うと同じハイコンテクスト同士でも通じないんですね。

りな)日本ではご飯を全部食べることが「おいしかった」と伝える文化なのに対して、中国ではご飯を残したほうが「お腹いっぱいで満足しました」と表現される、みたいなことがありますね。

忍翔)海外でホームステイに行った時の話なんですが、日本人がよく使う「so so」「Maybe」を使うと、「Yes?or No?」と聞かれました。

りな)色んな領域を見ると、日本はほとんど偏っていますね。日本がどれだけ偏っているかが分かる分布になってると思います。フィアレスでは、この文化の違いを越えてわかり合えるようなコミュニケーションをという要望をたくさんもらって今回のコンテンツ開発を実施しています。

登壇者3名によるトークタイム

りな)三上さんはこれまで色んな企業を見てきたと思うのですが、その中でよくあることってありますか

三上)同じ文化のはずの日本においても、世代ギャップ、世代によるコンテクストの違いがあると思います。おじさんとZ世代と呼ばれる子たちのコンテクストは全く別のものなのです。

今の若い人はSNSを始め、チャットなどすごいスピードで色んな人とやり取りをしていますよね。おじさん世代には到底真似することはできません。このことを考えると、コミュニケーションで言えばZ世代の方が明らかにできているんですよ。だけど、おじさん世代のコンテクストを理解できないというだけで、彼らはコミュニケーションができないという評価をされてしまう。そういったことが日本の中でも出ていますよね。

りな)そもそも「わかり合おう」とする意識を持てるかどうかにも、世代間の差がある気がします。

私のおばあちゃんの話ですが、聞く耳持たないなと思っていて。「わかり合いたい」と思えることも大事ではないかと感じました。

三上)コンテクストという名前を知っているだけでも違うことがあると思います。

コロナになってから中途で新入社員が自分の部下として入ってきたんですね。毎日業務時間後も1時間位話していたり、新入社員側も「うんうん」とうなずくので伝わっていると思ってたんです。でも実際に業務が始まると伝わってなかったということがありました。

そんな時、新入社員が「コンテクストの違い」について触れる機会があったらしく、私(三上)と新入社員のコンテクストが違うからこのズレが起きていると発見し、オンラインではなく直接オフラインで、どういう想いでやっていきたいかという自己開示もしながら対話をしたということがありました。

なので、ハイコンテクスト・ローコンテクストという言葉を知っていることで、相手をもっと知ろうとか、何が原因で断絶が起きているのかなどを考えるきっかけになるなと思います。

忍翔)究極、人それぞれに違いがありますよね。インプロバイザーであるりなと忍翔でもそれぞれの領域で考え方で異なるものを持っていると思います。

視聴者さんからの質問
今の三上さんの時代のお話しで思ったのが、通信機器などの変遷に寄って相手の思いや背景を考えるという事が良くも悪くも置き去りにされていると認識したのですが如何でしょうか?

りな)この件に関して思い当たることがあって、学生と50代のメンバーでオンラインワークショップをしたことがあって、学生の方がツールを使えるんです。そういう状況でインプロで「困りごとをオープンにする」とか「率直なフィードバックができる」ということができる土壌を作れたことはとても良かったなと思いました。

視聴者さんからの質問
お二人のコミュニケーションのコンテクスト度合いがどのくらいか知りたいです。

インプロワークを体験

ここでちょっとインプロワークをしてみたいと思います。やるのは体験WS当日も実施する「プレゼントゲーム」です。

インプロ「プレゼントゲーム」のルール
基本(ローコンテクスト版)
相手が喜びそうなプレゼントを架空で送る。そのプレゼントが嬉しかったら「ありがとう」と言って受け取り、うれしくなかったら可愛く「Non!!」といってフィードバックする。
異文化交流のために開発(ハイコンテクスト版)
相手が喜びそうなプレゼントを架空で送る。受けとる側はすべて「ありがとう」で返す。その「ありがとう」を受けて、相手がどのくらい喜んでいるのかを1〜10で当てる。

忍翔とりなでデモを実施
忍翔→りな
プレゼント:京都の限定品のセンス
忍翔の予想:4
りなの答え:3

りな→忍翔
プレゼント:天然水
りなの予想:7
忍翔の答え:5

これで、忍翔の喜び方と、りなの受け取り方の差が分かってくる。めちゃくちゃ嬉しそうだけどそうでもないのか、とか、そんな嬉しそうじゃなかったけどかなり喜んでるんだなということが分かったりします。

三上さんもやってみた

りな→三上
プレゼント:競馬のチケット
忍翔の予想:3
りなの予想:1
三上さんの答え:1
フィードバック:
りな)三上さんは賭け事しないんですか?
三上)しないですね。競馬も賭け事もしないです。

忍翔→三上
プレゼント:iPhone12
忍翔の予想:8
りなの予想:1
三上さんの答え:8
フィードバック
りな)全然わかんなかった。
忍翔)俺はもらった瞬間にちょっとよろこんだ瞬間を見逃さなかったよ。当たると嬉しいね。
三上)今持っているのは4年目の8を使ってるので、紫の12が欲しいですね。

忍翔)このゲームが会話のきっかけになるのもいいね。
りな)三上さんは競馬をやらないだろうなと思いつつプレゼントしてあっていたし、4年目のiPhoneを使っているなんて知らなかった。
忍翔)これをすると、相手をよく見るようになると思ってて、三上さんじゃないけどちょっとした喜びのサインとかをキャッチできるようになる。

りな)このゲームができた背景としては、相手のことを分かろうとすることも大事だと考えたからなんです。全部ローコンテクストで言って!と求めるだけではなく、受けとる側が分かろうとすることも必要だということでこのワークを開発しました。

三上さんはやってみてどうでした?

三上)よかったですね。
前半の説明には出てこなかったですが、「見解の相違」という領域がカルチャーマップで出ていて、対立型か対立回避型か、感情表現豊かか控えめかの指標なんです。これが日本は対立回避型の感情表現控えめがマックス数値です。

だから日本人がやると感情表現が控えめだし、アメリカ人がやったらもっと違う反応が返ってくる。色んな国籍の方とやると別の反応が返ってきておもしろいかもしれませんね。

忍翔)インプロとのつながりでいうと、相手をインスパイアする(相手を楽しませる、相手を喜ばせる)みたいな考え方がある。カナダのインプロバイザーでショーンキンリーという方が、相手をインスパイアさせるとはどういうことかという質問に「相手の目を輝かせることだ」「インスパイアされているかは目を見れば分かる」と言っていました。
オンラインになって身体を使ったコミュニケーションは取りづらい中ではありますが、顔は見えやすくなっています。だからこそ、相手の目を見ることができるといいのかなと思います。

りな)すごくいい話だなと思いました!オンラインだからという理由で、コミュニケーションを諦めてしまっている人もいると思う。でも、相手の目を輝かせようという意識をもっていたら、深い関わりができていくと思います!

今日の感想を一言ずつ

りな)インプロのトークライブの可能性が見えたなと思っている。今日の目標のひとつがライブ配信をして色々発見することだったんです。インプロワークショップに参加することに抵抗のある人が気軽な気持ちで見れて、インプロの意味を知ることができるような場にしたいと思ってました。またやりたいと思えたのでとてもよかったです!

忍翔)プレゼントゲームを三上さんとやって「いいですね」を貰えたことがひとつ良かったです。
僕らはインプロやり慣れている側として開発している。それが、インプロをしょっちゅうやっているわけではない方とやった時に、果たして見えるのかとかはある意味賭けなので、今日この場で試せてよかった。予想以上に盛り上がった。

海外の人とのコミュニケーションを取る時に、話出すのが大変。ネイティブじゃない人にとって会話のきっかけに困るみたいなことがある。そのひとつのきっかけになりそうだなということを思いました。

プレゼントを送る文化はどこの国にもありそう。そこで分からなかったら分からないというフィードバックをすればいい。分からないのに、そのまま流れていってしまうという場もあると思う。そうじゃなくて、「分からない」を言ってOKな場所にしていくためにやっていきたいと思った。

りな)元々このワークの発端が、英語ができるできないでヒエラルキーが生まれちゃうというとか、分からないが言えないというものが課題が発端でしたよね。だから言語に着目したワークとかもやりたいなと思った。

忍翔)この開発を、大学で英語を学んでいるかほという子とやっています。その子と言語に着目したワークも逐一開発していこうと思います。

三上)ニーズについて、国際色豊かでどうしようという話はそんなに多くない現状ではありますが、どの企業も今の流行りとしてDXやSDGsを上げていることが多いです。でも2・3年前はダイバーシティが流行ってたんですね。だからその話をすると、「そうなんだけど、まずは女性ですね」というところが大半で、今も状況はそんなに変わっていないと思います。

異文化の枠をどう捉えるかというところで、国際色が豊かな企業に限らず、違いはどんな組織においても生まれているので、そこに関してはインプロを使って組織を変えていく点において、果たす役目は多いと思ってます。

りな)インプロが必要だなと思いながら、企業に届けていくことに困難さを感じていることも事実で、その点で三上さん始めソフィアの皆様にサポート頂いていつも感謝しています!

三上)忍翔さんとは15分前にはじめましてだったにも関わらず、無事終わりそうで良かったです。さすがインプロバイザーですね。
今日取り上げる予定のひとつだったネガティブフィードバックについて話せなかったことが若干の心残りかなという感じですかね。

りな)そこは体験WSで話してきます!

次回のWSについて

異文化理解力を参考にした体験WSを開催します。ご興味持たれた方は、ぜひいらしてください!

 

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