仕事で「なんとなく気分が乗らない」「やる気が出ない」状態から抜け出す方法とは?

仕事をしていると、どうしても「気分が乗らない」「やる気がでない」ことがあります。気分が乗らない状態でも、無理やり仕事を進められることもあります。でも、できればやる気に溢れて楽しく目の前のタスクに取り組みたいですよね。

本記事では、「なんとなく気分が乗らない」と感じているときに、やる気を取り戻す方法について紹介します。

友達や上司に相談するという形ではなく、自分の考え方や捉え方を少し変えるだけでできることをまとめました。手軽にできることばかりなので、ぜひ試してみてください!

自分が気分が乗っていないことに気づく

「問題は、気づいた時点で8割解決している」という言葉があります。問題は、解決するよりも、認識することやそれを受け入れることの方が難しいです。

まずは、自分の気持ちに正直になり、「今日はなんとなく気分が乗らないな」と認めることが、次のステップへ進むための第一歩です。

反対に、「気分が乗らない」ことを認めず、「私は頑張っている」「これを私は楽しくやらなくてはいけないんだ」と自分を偽り続けているとします。結果、無理をして心や体を壊してしまったり、視野が狭くなり新しいアイデアや重要なミスに気付くことができなくなります。

気分が乗らないことを認めようと認めずにいようと、あなたの気分が乗っていないという事実は変わりません。気分が乗っていないという事実から次のステップに進んでいきましょう。

身体の不調か心の不調か判断し、身体の不調なら休む

気分が乗らない原因が、身体の不調にあることは意外と多いです。

筆者も、将来への不安が止まらないことや、ネガティブな考えが頭を離れない日がありました。しかし、その日の夜にいつもよりたっぷり睡眠を取ったところ、翌日は人が変わったようにポジティブになりました。自分でも変化の大きさと、睡眠の効果に驚いたものです。

疲れや睡眠不足、栄養バランスの偏りなど、身体に起因するものならば対応は比較的簡単です。

「最近不規則な生活を送っていたな」
「無理をして寝不足かも」
など、思い当たる節がある場合は、しっかりと食べて寝るだけで、大きく改善する可能性が高いです。

目の前のタスクの意義がわからなくなっている

大聖堂を作る3人の職人の話を聞いたことがありますか?

ある日、旅人が大きな工事現場に出くわしました。そこでは、3人の職人が石を積んでいました。彼は彼らに同じ質問をしました。「何をしているのですか?」

最初の職人は、ぶっきらぼうに答えました。「見てわかるだろう?石を積んでいるんだよ。重くて大変な仕事さ。」次に、2人目の職人に同じ質問をすると、彼は少し落ち着いた様子で答えました。「石を積んで、壁を作っています。家族を養うために働いているんです。」最後に、3人目の職人に尋ねたところ、彼は誇りに満ちた笑顔でこう答えました。「私は大聖堂を作っています。何百年も人々が祈り、集い、そして心の安らぎを得る場所を作っているのです。」

この3人の職人がやっている仕事は同じです。しかし、彼らの感じ方やモチベーションには大きな違いがあります。

最初の職人は、仕事をただの労働と捉え、日々の苦労に囚われています。2人目の職人は、仕事を生活のための手段として捉えていますが、そこに喜びややりがいを見出しているわけではありません。3人目の職人は、同じ仕事を「大聖堂を作る」という壮大な目標として捉え、自分の仕事に大きな意味と価値を感じています。目の前のタスクや仕事に自分なりに意義を見出せていると、モチベーションは高く取り組みやすいです。

しかしここでのポイントは、人間の意識は良くも悪くも変化するということです。

最初は目的や意図、自分の中の価値を明確に持って仕事をしていた人も、何日も何日も石を積んでいるうちに、ただ石を積む仕事だと認識が変わってしまうことがあるのです。

では、そんな時はどうしたらいいのでしょうか?

どうしてその仕事を始めたのか思い出す

目の前の仕事の意義がわからなくなってしまっているときは、少し距離をとり、俯瞰したところから見つめてみることが効果的です。

今の会社に入った理由、今の職業を選んだ理由など、自分にとって最初の動機を思い出してみましょう。できるだけ大きく根源的な仕事の目的や動機であることが大切です。自分の心がワクワクするような、心の底からモチベーションが湧き上がってくるような感覚が生まれるとベストです。

目の前のタスクとの共通点を探す

当初の目的や動機が思い出されたら、目の前にあるタスクとの共通点を探してみましょう。

目の前のタスクは、必ず当初の目的と同じ方向を向いているはずです。どんなに小さなことでも構いません。最初の目的や目標と結びつく部分を見つけてください。この共通点が見つかることで、日々の仕事が自分にとってどれほど価値があるのか、再確認することができるでしょう。

注意!タスクの”意味”ではなく、”意義”を思い出す

タスクにどんな意味があるのか、仕事の中のどんな位置付けなのかは、気分が乗らないその時も理解している可能性が高いです。

たとえば、「ブログを書く」というタスクだった場合は、以下のことです。
・会社の広報の意味付けでやっている
・プロジェクトの中間報告をすることでファンが共感できるポイントを増やす

これらは仕事を作業としてみなしてしまうものです。つまり、2人目の職人の「壁を作っている」を認識している状態です。

そうではなく、”大聖堂で心を安らげる人々の顔”のような、本来の目的の要素を思い出しましょう。仕事の意義があなたの心に火をつけてくれるでしょう。

参考になる考え方:ジョブクラフティング
ジョブクラフティング(Job Crafting)とは、従業員が自らの仕事に対して積極的に変更を加えることで、仕事に対する満足感や意義を高める手法です。これは、従業員が自分の仕事を単に与えられたタスクの集まりとしてではなく、自分のスキルや価値観に合わせて再構築するアプローチで、仕事へのエンゲージメントやパフォーマンスの向上を目指します。

他人の感性で仕事をしてしまっている

色んな人と仕事をしている中で、いつのまにか自分ではない誰かの感性を元に、作業をする状態になってしまうことがあります。

たとえば、あなたがプレゼン資料を作成しているとします。そのときに、上司がこれまでに作成した資料のスタイルや内容を思い浮かべ、「上司ならこういうデータを使うだろう」「こういうデザインにするだろう」と考えながら作業を進めてしまう状況です。

無意識に他人に合わせていないか確認する

あきらかに上司のやり方に合わせようとしていることもあります。しかし、多くの場合は、いつのまにか他人に合わせてしまっているものです。

また、上司のように明確に合わせる相手がいる以外にも、「それっぽい資料を作りたい」「相手にすごいと感じられるような内容にしたい」など、漠然とした基準に向かっている場合もあります。

自分がやっている作業の中で、他の誰かに合わせにいっていないか確認してみましょう。意外と、自分の頭の中で顔色を伺っている人の存在が見つかるかもしれません。

自分だったらどうするかを考えて、仕事をする

誰かに合わせてしまっている自分が見つかったら、自分の感性を取り戻していきましょう。

目の前の作業について、自分だったらどう進めるかを考えてみてください。資料の配置や言い回しなど、小さなことで構いません。作業の中に自分の考えやアプローチを取り入れていきます。

これだけでやらされ感が薄れ、仕事に対する興味や熱意が再び湧いてくることがあります。自分の意見を反映させることで、仕事が「やらされるもの」から「自分のプロジェクト」へと変わり、気分も自然と前向きになるでしょう。

参考になる考え方:自己決定権
自己決定権とは、個人が自分の行動や選択を自主的に決定できる感覚を指します。これは、自分が行うことについてコントロール感を持ち、自らの価値観や目標に沿った意思決定ができる状態です。仕事や学習、日常生活において、自己決定権が高いと感じると、その活動に対する積極性や満足度が高まります。

仕事に大きなプレッシャーを感じている

どうしても身体が動かない時、その仕事に自分がプレッシャーを感じている可能性があります。

仕事の責任感や期待される成果、期限など、さまざまな要因によって引き起こされますが、その結果、不安感や焦燥感、集中力の低下、自己評価の低下などが生じることがあります。また、過度に考えすぎてしまい、決断が遅れることもあります。

こんな時はどうしたらいいのでしょうか。

「怖い」「できない」を認める・感じ切る

怖いことやできないことを認めることは、事実に直面することや自分の限界や欠点を受け入れるということなので、勇気のいることです。

しかし、認める勇気を持つことなく進んでいくと逆に弱さが露呈していきます。人の悪口を言いたくなったり、環境に文句をつけたくなったり。なんでもないことにして進むことは、無理をして余分な力を入れた状態で行動することになるので、本来の力を発揮することもできません。

そんなときは、怖さ・プレッシャーをしっかり感じきってください。

身体がゾワゾワしたり震えたり、冷や汗をかくなど感覚の変化を感じるでしょう。実は、この状態になったところからがスタートです。「失敗するかもしれなくて怖い」「大きなプレッシャーに身震いする」と感じ切ることができると、自然と、「それでもやりたい」と思えたり、「今自分にできることは目の前のタスクを一つ一つこなしていくことである」と心から理解することにつながります。

または、「これは自分にはできないことだ」と認識し、他の人に依頼したり上司に調整をお願いするという行動に移ることもできます。

ラーニングゾーンに移行する勇気のある自分になる

人の成長には「コンフォートゾーン」と「ラーニングゾーン」があります。(ミシガン大学のビジネススクール教授、ノエル・M・ティシー氏が提唱)

コンフォートゾーンは、安定して安心感が得られる領域で、既に身につけたスキルや習慣を活用する場です。しかし、成長や学びが停滞しがちです。一方、ラーニングゾーンは新たな挑戦が求められる領域で、適度な不安やストレスを感じることが多いですが、その分、スキルや知識を広げる機会が豊富です。プレッシャーを感じているのは、まさにラーニングゾーンに自分がいるということでしょう。

コンフォートゾーンから抜け出して、ラーニングゾーンに移行する。そこがまたコンフォートゾーンになるというサイクルをできるだけたくさん回すことができると、成長が早くなります。

でも、ラーニングゾーンは不安を感じるため、移行にはとても勇気がいることが多いです。

しかし、この勇気は後天的に身につけることができます。何度も何度も不安を感じる状況に身を置くのです。「勇気を持って不安を感じることに挑戦する」という状態をコンフォートゾーンにしてしまうのです。結果的に、ラーニングゾーンで感じる不安が自分に与える影響を小さくしていくことができるでしょう。

日常的に不安を感じる状況に身を置く難しいかもしれません。しかし、ワークショップや研修、コーチングといった日常や日々の業務とは少し距離をとったところであれば、比較的簡単に行うことができます。

弊社が実施しているインプロ研修では、「先がどうなるかわからない場所」を楽しむ態度を作っていきます。繰り返し不安でドキドキするような状況を経験しながらも、その状況を楽しんだり笑いあう環境が、あなたを勇気あふれる自分に導いてくれるでしょう。