株式会社フィアレスは「インプロ」を活用した企業研修を提供しております。その中で実施した研修について、紹介しています。
今回は、「伝えること」をテーマに扱った公開研修の様子はこちらです。
今回の研修は、2部に分かれて行っています。
第一部【その表現で、相手に伝わってる?】捉える時、伝える時、自分はどんな状態なのか
第二部【その表現で、相手は変われる?】自分の台詞は何のために存在しているのか
<実施したワーク>
第一部
・研修に参加した理由を全体でシェア
・自分の好きなことを伝えてみる
・自分が持っているものを相手に見せずに伝えてみる(★)
・ジブリッシュ
・特色、感情、ストーリー
第二部
・演劇におけるセリフの考え方シェア
・シーンを考える視点(目的・環境・関係性)をシェア
・シーンを考える視点で、日常の困った状況を再現(★)
・自分の身体を観察する
・身体の視点で、日常の困った状況を再現
・脚本を演じてみる
この中で、いくつかピックアップしてご紹介します。
自分が持っているものを相手に見せずに伝えてみる
人間は基本的には誰かと言葉を使ってやり取りができます。同じ言葉を使っているからこそ、「どうして伝わらないんだ」と伝わる前提で考えてしまうことが多いです。
しかし、ものを伝えるというのは本当はとても難しく、奇跡的なことだと思います。まずはそれを体感してもらいました。
<やり方>
手で握って隠せるくらいの大きさのものを持ってくる。(できれば公園などに行って自然のものを探せるとよい。)
例)石、落ち葉、木の枝、鍵、Bluetoothイヤホン、お菓子
2人組になって、相手に自分が持っているものを3パターンの方法で説明する。
①名前、用途を説明せずにそのものを伝える
②名前を使ってそのものを説明する
③いいところ・素敵なところを説明する
実際にやってみると、名前以外の言葉がなかなか出てこなかったり、名前や用途ではないとはどういうことなのかというルールが気になってしまったり、素敵なところで使う言葉が全然違うなど、発見・体験がたくさんありました。
伝え方の3パターンにも意味があります。
①名前、用途を説明せずにそのものを説明する
→形の見えない感情やまだこの世にないものを伝えること
自分の中に生まれた喜びやもやもやは名前がなかったり、形が見えないのでなんとか言葉や態度で説明する必要があります。また、この世に存在していないものは名前が浸透していないものも、概要をわかる言葉に変換して伝える必要があります。
②名前を使ってそのものを説明する
→名前のイメージにとらわれながら伝えること
名前はとても便利なものですが、同じ言葉で同じものをイメージしているわけではありません。例えば、「エンタメ」という言葉でも、映画やドラマ、音楽、コンサート、アニメ、ゲームなどなど、連想するものは違うでしょう。相手が持っているイメージが助けになる場合もありますが、逆に固定観念になって正しく伝えきれないこともあります。
③いいところ、素敵なところを説明する
→言葉そのものを超えて、価値観が見える
同じものでも、いいと思うところ、そこから連想することは人それぞれ違います。ここには価値観や相手の視点が見えてきます。自分がいいと思って一生懸命説明することが、相手に響かない場合もあるでしょう。
このように、ただ「伝える」と言っても、いろんな背景やいろんな要素が含まれていること。これを一度意識するだけでも、伝え方や受け取り方が少し変わってくると思います。
目的・環境・関係性から困った状況を捉える
後半では、演劇でシーンを作る際に助けになる視点を使って、実際に自分たちが日常生活で困っている状況を捉えてみました。
<テーマ>
義父がご飯を食べている最中におにぎりを渡してくる。「いらないです」と断っているけれど、伝わらずに目の前に置かれてしまう。
<普段を再現してみた>
義父「おにぎりいるか?」
Aさん「いらないですよ」
義父「梅としゃけどっちがいい?」
Aさん「ご飯中なので大丈夫です」
義父「ここ(Aさんの目の前)置いておくな」
このシーンを演劇的な視点を使って捉えてみるとどうなるか、を実験してみました。
演劇でシーンを作る時にとても重要になってくる視点が3つあります。
1つ目は『目的』
登場人物はどんな目的でいるのかを捉えます。演劇では「Acting is Doing」と言われます。つまり、思っていることや感情ではなく、行動を伴うことが大切だということです。
今回のテーマではどんな目的を設定できますか?
研修では「おにぎりを手放させる」と設定してみました。
義父「おにぎりいるか?」
Aさん「いらないですよ」
義父「梅としゃけどっちがいい?」
Aさん「そこ(キッチン)置いておいてください」
義父「食べるだろ?」
Aさん「はい、そこのお皿に置いてくれますか?」
義父「おぉ、うん、わかった」
明確にお願いしたい行動がわかったことで、言葉も「いらない」から「そこにおいてください」に変わり、義父の行動を変えることに成功しました。
2つ目は『関係性』
このテーマでは、義父と嫁という関係でしたが、実父と娘だとどうなるのかやってみました。
父「おにぎりいるか?」
Aさん「あ〜いらないいらない」
父「梅としゃけあるぞ?」
Aさん「いらないってば!笑 持って帰ってくださ〜い」
父「なんだよ〜いらないのかよ〜」
Aさんの言動が、義父の時とは全く違うものになりました。
3つ目は『環境』
そのシーンはどこで行われているのか、誰がいるのかで言動が変わってくるのです。今回のテーマは、2人きりの夕飯でしたが、お正月に親戚が集まっていたり、夫や息子がいる状態だったらどうなるかやってみました。
義父「おにぎりいるか?」
Aさん「いらないです」
義父「梅としゃけどっちがいい?」
Aさん「たぶんBさん(夫)が食べるかもしれないですね」
義父「おおそうか、B食べるか?」
明確に夫さんや息子に助けを求め、バトンタッチすることができました。
他にも、
『ジブリッシュ』
メチャクチャな言葉を使って「何を言うか」ではなく「どう言うか」だけを切り取ってやってみる考えてみる
『特色・感情・ストーリー』
自分が言おうと思ったことを話したあと、相手が聞きたいことを話していくとどんな違いがあるのかみてみる
など、「伝える」ということを様々な角度から体験し捉えていきました。
参加者の感想
参加者の1人が感想を書いてくれました。こちらもぜひ参考にしてみてください。この研修は、社員研修としても実施可能です。ご興味のある方は、ぜひお声かけください!